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カルチャー・ショック
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富士五湖シリーズ2/5
河口湖(72.5KB)
河口湖
1999年7月1日発行

2000.06.24
文責:獨 澄旻

 カルチャー・ショックはなにも外国とは限りません。しかも、縄文・弥生時代でも貴族・武士の話でもありません。

 私が学生のときバイトしていて、その休み時間の話です。バイト先の人が「吉原に行ったことがある」と言い出したのです。皇太子御成婚切手(平成の天皇です)を持っていたことから、その年号が昭和三十四年であることが何故か記憶に残っていました。その前年、吉原はなくなっています。バイト先の人の年はどうみたって、その当時は小学校に入った程度くらいなので、バイトが来たらいつもこんなウソ自慢をしているのだろうと思って「じゃあ、子供でも入れたんですか?」と聞いてみました。
 すると、しゃあしゃあと「そうだよ」と答えるのです。単なるH話かと思っていたら、さらに「オヤジに連れて行ってもらったんだ」と言うのです。オー・マイ・ゴッド、競馬に子供を連れて行く話は聞いたことがあるけれど……。ついつい話を聞いてしまいました。
 太平洋戦争が終ってから数年の話です。当時は、子供を連れてくる父親がそれなりにいたらしく、託児所のようなところがあって、みんなと(当然、子供です)遊べるから面白かったと言います。(吉原の)女の子が相手をしてくれ、遊びを教えてくれたりもしたそうです。

 18歳や16歳以下は禁止、なんて場所を越え時を越えて不動のものとなんなく思っていた私にはカルチャー・ショックを受けてしまいました。しかも、将来のお客さんを確保し、将来の従業員の養成も行なっている……、一体「吉原」ってなにものなのだ!
 このとき以来、私はステロタイプなものの見方をしないように努めています。年の上下は関係なく、同じ時を共有しいてる人たちでも、このようなギャップがあることを知りました。
 太平洋戦争だって、それ以前の話です。「自衛」は必要だといいます。でも、太平洋戦争の宣戦の詔書では「自存自衛」のためやむを得ず起()ったと説かれているのです。「自衛」の使われ方を知らずに「自衛」を述べてはいけないと思います、過ちを繰り返さないためにも。


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