1999.06.20
文責:獨 澄旻
当館の設立趣旨の『業務と配布』で「こちらから入力を依頼する場合などでは、その労働報酬をお支払いいたします」と言いながら、『スタッフ募集要項』では「原則として報酬はありません」と述べています。
これは実に心苦しい事なのです。正直いって、支払いたい、でも払えない、という矛盾を感じているからです。
だから一番に語りたい事でもあります。
1.まず、【設立趣旨になぜ「労働報酬」を述べたか】を説明したいと思います。
PDDは著作権が切れて(ここでは仮にそう限定します)いますから、著作者やご遺族の方への報酬はありません。しかし、それをインターネットなどで使用できるように変換するには、入力作業というものが不可欠です。その作業は、「著作権切れ」とは本来無関係で、報酬の対象になるべき労働です。「著作権切れ」に報酬が発生しない事から、ついつい「入力作業」にも報酬は必要ないと考えがちです。そう分かっていても、いつしか「無報酬」が一般的になると忘れ去られる恐れがあります。
そこで支払う金も持っていないくせに、初心を忘れないように、支払うなどと大口を叩いたのです。そのようなお金を持っているように誤解された方がいらっしゃったら申し訳ありません。
しかし、一方でPDDは書籍としても出版もされています。そしてインターネットでPDDを扱う人の中には、出版社・編集者などが行なっている「報酬があるべき作業」さへ、PDDの中に含まれているかのような誤解をされている人も出てきました。『著作権法』を素人解釈し、訴えられないのならOKだという論法のようです。そのように考える方々はたぶん、「入力作業」はボランティアなんだから「無報酬」と考えて疑う事はないのでしょうね。
かく偉そうに言う私も法律には(にも)門外漢ですから、私は(いろいろな意味で不確かな)法律よりも大人の常識を優先させて考えています。
2.では、【報酬を支払うようになぜ努力しないのか】を述べたいと思います。
私個人が入力報酬をお支払いした場合、依頼したデータの公開以前に、現在公開しているデータの公開さえ継続できなくなってしまうからです。
なら積極的に寄付金を募ったら、とお考えでしょうが、口先だけではどれだけの人に募金していただけるでしょうか。実績がなければ募金に努力したって皆無である事は眼に見えています。
つまり、データ公開の実績を積む事が大切だと考えたのです。
しかし、この「入力報酬は本来あるべきだ」という考えは私自身の結果としては、(報酬の支払いができない)入力スタッフの募集にも消極的になってしまいました。つまり、ここでも報酬の矛盾はデータ公開の実績を伸ばす事にもブレーキとなっているのです。
一方、実績を伸ばすには、公開したデータに個人名を添付して名誉心をくすぐる方法もあります。
数行だけと思って書き出したら、いつの間にか長くなってしまいましたので、「個人名添付」については別に述べさせていただきます。