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奪衣婆(だつえば)(1998年11月20日撮影)
東京都板橋区赤塚5丁目 浄土宗 赤塚山 乗蓮寺(東京大仏)
津藩主藤堂家旧蔵の奪衣婆閻魔堂内の奪衣婆
【奪衣婆(脱衣婆)】
 鬼婆(おにばば)の一つです。「懸衣嫗(けんえう)」,「葬頭河婆(しょうずかのばば)」,「三途河(そうずがわ)の婆」,「奪衣鬼」,「奪衣」などとも呼びます。

 三途(さんず)の川のほとりにある衣領樹(えりょうじゅ)の下にいて、亡者(もうじゃ)の衣類を剥()ぎ取って、樹上の懸衣翁(けんえおう)に渡すという老女の鬼婆です。
 懸衣翁はその衣類を衣領樹にかけ、衣類の重さ、つまり枝のしなり具合で罪の軽重を定めるといいます。

◎中国で成立した偽経(ぎきょう)である十王経などで奪衣婆が述べられています。偽経は本当の仏典ではないと非難されますが、難解な仏教を庶民へ浸透させた点は評価されます。
 日本では民間信仰と習合(しゅうごう)し、道祖神の姥神として祭られたりもしています。小さなお子様には恐い存在ですが、お母様がやさしく説明してあげたら、お子様は将来「鬼婆」などという言葉を使わないと思います。


九品仏の奪衣婆
 上の右の写真にはガラスによる映り込みがあるので、もう一枚、ご紹介します。

 こちらは東京都世田谷区奥沢5丁目の九品仏(くほんぶつ)(浄土宗 九品山 浄真寺)の奪衣婆(1998年11月29日撮影)です。
 左手を添えて左の膝を立てている、右手には何かを持っているなど共通点がいくつもありますね。
 一般に閻魔堂(えんまどう)の中で閻魔様(えんまさま)の脇に安置されていることが多いです。



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